2006年02月26日

首都圏支部 茶話会 講演会

首都圏支部 茶話会 講演会 2005年12月3日(土)
有楽町 ラステラにおいて

     平島博行さんの講演(39年西寮)

「マーケッテイングと人生 三つの塾と通して」

 今日は茶話会なので、気楽に、わが半生の体験談をお話させていただきます。
三つの塾とは、「和敬塾」「慶応義塾」、そして「ライオン塾」です。
 「和敬塾」への思いは、感謝の一言に尽きます。共同生活を通じての人間形成が得られたと考えています。 世の中には、二つのタイプの寮があります。一つは、県人会寮や大学寮など、単一の集合体で、刺激の無い住まいに過ぎません。それに比して、和敬塾は、世界から、日本全国から集まり、通う大学も首都圏50以上に及ぶ、刺激に満ちたマトリックスの集合体でした。女人禁制、プライバシーの欠如、安ウイスキーのもと、様々な世界の「達人」を目指す若者集団に満ちていました。
 慶応義塾では、アメリカから帰国したばかりだった、新進気鋭の片岡先生の「商業通論」のゼミ履修を希望しましたが、大きな壁に遮られることになりました。それは、A の数が
大きく不足していることでした。20以上必要とされていたのですが、僅かに4.何としても許可を得たいために、得意とする心のコミュニケーション手段で、熱意を訴えました。
 ようやく仮許可があり、教室に出てみると、何と50人もの大所帯でした。原書講読には、予習を徹底し、お陰で、保護観察を解かれ、正式な許可を得ることができました。後で、先生曰く、大学は年々マスプロ化しつつあるので、成績で選ばず、異質な男を入れることにしていると言われました。つまり、成績が振るわないものの「異質」において許可されたようなのです。マーケッテイングとは、異質による「差別化」であると言われました。
 マーケッテイングは、当時はまだ新しい学問で、学んだ友人が松下の入社試験を受け、
松下翁に「何やねん」と問われ、「4つのP、プロダクト、プライス、プロモーション、プレイス」と得々と答えましたが、「それ、商売でんな」と言われ、見事にだめでした。
 慶応義塾とライオンとの結びつきは、1964年に、エルサルバドル、ホンジュラス、
コスタリカなどの中米親善大使派遣があり、希望者の募集がありました。既に応募期限は過ぎていましたが、25万円の費用の前借りを入社が内定していたライオンの人事課長にお願いしました。まだ、一日も働いていない会社に借金の申し込みとは、と呆れられましたが、運良く許可され、面接もパスすることができました。
このときの体験から学んだことは、夢を実現するには、「多くの情報を入手し」これを「組み立て」、「違い」を示すことであるということでした。
 当時、著名企業への入社試験は、成績順に学校推薦を得て行われていました。ところが、
ライオンには、「公募」がありました。人気テレビ番組の「アンタッチャブル」のスポンサーとして、「バイタリス」(ライオン)が提供していたことを知っていました。入社試験では、「何故、当社を受験したのか」という当然の質問に、寮のラウンジで、毎日曜日夜、テレビの前に陣取っていたことが役立ったものでした。
 ライオン塾に入れたのですが、ほんとうに入社できて良かったと思っています。まず、営業に配属されましたが、大変な重労働の職場でした。来る日も来る日も、毎朝スーパーの店頭に通い、コルゲート商品を後ろに、ライオン商品を前面に置く、陣取り合戦でした。遂には勝利を収め、コルゲートは、日本から撤退することになりました。世界最大のトイレタリー会社が進出していないのは、日本とインドネシアだけですが、彼らが、日本では「歩兵が大事」とは考えなかったのが、撤退せざるを得なかった彼らの反省の弁です。
 マーケッテイングでは、「歩兵の役割」を忘れてはいけません。
 ニューヨーク事務所に若手社員を派遣することになり、白羽の矢が立ちました。仕事は出張者のアテンドやレター整理ですから、時間はたっぷりあります。許可を得て、夜、コロンビアの英語学校へ通うことにしました。世界各国から様々な人種が集まっていました。
帰国後、勉強のため、休暇を認められ、コロンビア大学で学ぶことになりました。
 米国人のMBAを目指す諸君は、驚くほど良く勉強していました。ある試験で、100ページに及ぶ文書を読み解き、回答を書く問題がありました。読み終わった時には、残り時間は僅かに10分。「ヘルプ・ミー」と書くのが精一杯でした。すぐに担当教授を訪問し、翌日、インタビューの追試を認められました。
 ここで学んだことが二つあります。一つは、人は与えるものがなければ、何も返って来ないこと。二つ目は、人は主張しなければ認められない、ということです。
 授業は、デイスカッションで行われますから、英語が分からなければ、これに参加できません。ということは、何の貢献もできないということです。やむを得ず、新渡戸稲造の武士道をボデイランゲージを以って、彼ら同輩に紹介したこともあります。
 ライオンがブリストルマイヤーズとの合弁で、「バイタリス」の販売を行っていたとき、
資生堂は「MG5」を投入、激しい競争に突入しました。わが陣営は、アメリカ流マーケッテイングで対応し、先方は、心のマーケッテイングで、徐々に優勢になって行きました。
米国人社長からは、プロダクトマネージャーを命じられましたが、売り上げと利益を達成できず、本社に戻ることになりました。
 その後、アンネのナプキンやオムツ事業など、そして不調海外部門の再建・閉じ屋などを歴任、紆余曲折を経験してきました。
 体験から言えることがいくつかあります。
 「メーカーは技術的裏付けがないと、価値の創出ができない」
 「新商品の開発には、技術的裏づけを徹底的に追求し、明るさが見えたら、初めて進出を決定する」
 M/A (買収)には、何が本当の価値なのか、「ブランド」、あるいは他より優れた「技術」があるのかが肝要です。
 マーケッテイングとは、「コミュニケーションによる心のマーケッテイング」と、他との
違い「差別化」の二つが原点です。
 


講演録のノートを見て、一度レポートを作成し、それを平島さんに訂正していただいたものが上記の「講演録」です。

信川忠道 279−0026 千葉県浦安市弁天2−27−8
     電話・FAX 047−353−1628
     E-mail:  t.nobukawa@jcom.home.ne.jp
posted by WebMaster at 19:39| 東京 ?J| Comment(1) | TrackBack(0) | 講演会・茶話会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
通りすがりでブログを拝見したのですが、
すばらしい文章を読ませていただきありがとうございました。

この講演、生で拝聴できたら、どれだけすばらしいことだったでしょう。

荒木祐二
Posted by 荒木祐二 at 2006年03月08日 15:05
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